ハククリエイティブカンパニー

岡本かのこ、太郎、敏子

投稿日
2019/05/17
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未分類

岡本かのこさんという小説家の生き方に
感銘を受けた若い頃。

かのこが小説を書いたのは晩年の三年間で川端康成氏から手ほどきをうけたと言う。破天荒であり正直な人生。

あの頃、私にはかのこさんが産んだ芸術家、岡本太郎さんの芸術が読み取れなかった。万博も行ったことなければ、奇妙な笑い顔の太陽の塔が怖かった。

一昨日、ふと、表参道にある岡本太郎記念館に立ち寄って、度肝を抜いた。父、岡本一平から譲り受け、自宅兼アトリエとして使っていた青山の記念館の客間には、太郎さんのそのまんまのレプリカがあり、まるで息をしているかのような、皺まで再現された、魂を感じる蝋人形がいた。

生前に太郎さん自身が自ら蝋に入りストローで息をしながら、精巧なものを作りあげたらしく、何体か存在し、あと数体は、普段箱の中に眠っているらしい。亡くなってもなお、そのままの姿で魂が生き続け、この先永遠に、みんなに大切にされている芸術家。寂しさがなく明るさを感じる芸術家は他に類がない。

 

そして、秘書であり養女で同じ姓になった岡本敏子さんの「太郎さんへの強い母性」が、岡本太郎記念館に溢れでてあた。

母性が太郎さんの芸術を高め、常にある安心感の中で、太郎さんは安心してこの世に沢山の芸術を作り続けたのだろうか。だけど本のコラムを読んでいると、太郎さんと敏子さんのすれ違いに私は気づいてしまう。

だけど、二人には暗さがない。

常に人間は、すれ違いながら生きている。

そのすれ違いこそが、美徳なのだと気づく。

岡本太郎記念館 庭
岡本太郎記念館 アトリエ

イーストプレス 岡本敏子 「愛する言葉」より抜粋

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